過去ログ - 楓「命短しススメよ乙女」
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77:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:29:51.25 ID:49W9hqJ1o
楓「こちらこそごめんなさい、ね?」

さりげなく蘭子にも謝るよう促したが、蘭子はその少女の異様な出で立ちにすっかり怖気づいていた。
確かに、大人から見てもその少女の格好は少し不気味である。
長い前髪で右目を隠し、落ち窪んだように見える目元はそういうメイクをしているのだと思われた。

「お……お店に興味……あるの? も、もしかして……お客さん……?」

蘭子に話しかけているようである。
蘭子は無言で頷いた。

「や……やった……久しぶりのお客さん……ど、どうぞ中へ……」

少女はどうやら店員らしかった。
楓と美優は色々な意味でこの店が不安だったが、蘭子が気圧されながらも素直に店の中へ入って行ったので、仕方なしに一緒に入ることにした。

その少女は小梅と名乗った。

小梅「私は……働いているっていうか……お手伝い……みたいな……? 奥のカウンターに居るのが、オーナーの貴音さん……です……」

貴音「いらっしゃいませ」

ミステリアスを絵に描いたような人がそこに居た。
楓と美優はぺこりと会釈した。
店そのものは清潔なのだが、薄暗い照明や古ぼけた天井など、なんとなくカビの匂いが漂ってきそうなじめじめした印象である。
なんだか物凄い場所に来てしまったような気がする。

一方蘭子は、さきほどの遠慮がちな態度はどこへやら、さっそく店の中の商品を目を輝かせながら見て回っていた。
見たこともない文字が綴ってある分厚い本が本棚一面に並べられている。
何に使うのか見当もつかない小道具があちこちに陳列している。


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