過去ログ - 「二宮飛鳥は孤独を忘れてしまった」
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4: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2016/06/04(土) 22:50:14.46 ID://1N5xrh0
仕方ない、仕方ないんだ。

プロデューサーだってボクだけにずっと構っているわけにもいかない。

それこそ、他のアイドルたちのことも対応しなきゃいけないのだから。

だから、これは高望み。

こんなにも脆くなってしまった、ボクの弊害。

二宮飛鳥は、アイドルとなることで包み隠していた弱さを露呈させたのだから。


……もう、何時間待っただろうか。
時計を見れば、過ぎた時間はたったの40分。体感時間との差異に笑みをこぼす気も起きなかった。

聞こえてくるアナウンスは、復旧工事がどうこうと慌ただしい。

どうやらまだまだ時間がかかりそうだ。この場にいる人間皆がそれを察しているからか、待合室の空気は重い。

ほんの少し、自分の靴を映す視界がぼやけた。慌てて目元を拭う。

でも、そうして手に感じた湿気は致命的だった。

こんなに簡単に、追い詰められてしまえるのだと自覚する。

「っ、ぁ……ぅ…………。」

だって、ボクの側には誰もいない。

だから、それならさ。泣いたって、いいじゃないか……!


「飛鳥」

「っ!?」

肩に触れられた手に、びくりと跳ね起きる。

見上げれば、少し申し訳なさそうな顔をしたプロデューサーの姿。

でも、その表情はすぐに安心させるような優しい笑顔になる。

「迎えに来た。ごめんな、遅くなって」

その顔と、台詞は、卑怯じゃないか。

慌てて繕ったボクの我慢はいともたやすく決壊して。

「っく……うぁ、ああぁあぁああっ!!」

「おいおい、そんなに泣くなって。……どうすりゃいいか、わからないじゃないか」

少し困ったような表情。でも、そんな彼にどうしようもなく甘えたくなってしまう。

体面もプライドも投げ捨てて、ボクはプロデューサーの胸に顔を埋めた。

ボクをこんなにも弱くした彼には、こうしてその責任を取る義務があるんだ、なんて。

心の中で見当外れの言い訳をしながら、ボクを受け入れてくれるプロデューサーに甘え続けていた。



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