過去ログ - 十一年後の名探偵
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6: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:32:05.04 ID:AVFEXgvo0
よくよく観察してみると高い身長にボロボロのインバネスコート、おまけにサングラスと怪しさ満点だが、
目鼻立ちは整っており、同性のゆりあから見ても大変な美人だと言うのが分かる。


頭の赤毛は短くショートに切り揃えられているが、その魅力を少しも損なっていない、とゆりあは感じた。
以下略



7: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:32:43.50 ID:AVFEXgvo0
その言葉に息が止まったのはゆりあの方だ。

彼女は、その名前がゆりあとその家族にとって、
どれだけ胸を塞ぐ存在なのか理解してその名を告げているのだろうか??

以下略



8: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:33:12.75 ID:AVFEXgvo0
ゆりあは手渡された名刺の住所に書いてあるビルの前まで行き、虚ろな表情でその三階を見上げていた。

安斎探偵事務所、と、ビニールテープの様な物で窓ガラスに書かれた文字を見つめた後、
もう一度名刺に書かれた名前に目を落とした。

以下略



9: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:33:39.95 ID:AVFEXgvo0
安斎都。 名刺にもそう書かれている名前を、ゆりあは家に帰った後自室のPCで検索してみた。


探偵としては検索には掛からなかったが、その名前はかなりの検索数が出た。

以下略



10: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:34:12.71 ID:AVFEXgvo0
そこまで調べたところでゆりあは、動画サイトにある自分の姉である赤城みりあの動画を再生した。

明るい歌声がとライブで踊る少女の画像がPCから流れてくる。


以下略



11: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:34:38.96 ID:AVFEXgvo0
勿論、早い段階で失踪届けは警察に提出されていた。

しかし、一向に見つからず、七年が経過、赤城みりあは行方不明のまま死亡認定された。


以下略



12: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:35:18.62 ID:AVFEXgvo0
たまに父と母がゆりあを見て、とても辛そうにしているのはそのせいなのかもしれない。

だからこそ、父母は姉の二の轍を踏まない様に、ゆりあの体にチップまで埋め込んだのだろう。


以下略



13: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:35:47.75 ID:AVFEXgvo0
だが、行方不明と言う宙ぶらりんの状態では
薄い希望を何時までも抱えて辛い人生を生きて行かなくてはならない。


それを見続ける事はゆりあには耐えられなかった。
以下略



14: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:36:13.63 ID:AVFEXgvo0
雑然と積まれた段ボールを避ける様にして薄暗い階段を登るとやけに達筆な字で、

【安斎探偵事務所】

と書かれた看板が目に入った。
以下略



15: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:36:44.35 ID:AVFEXgvo0
ゆりあが所在無げにソファーに座っていると、
しばらくして都は湯気の立ったマグカップを両手に持ち、ゆりあの元へ戻って来た。


勧められたブラックのブレンドコーヒーはゆりあには少し――大分苦かったが、有難く頂く事にした。
以下略



16: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/06(月) 06:39:29.10 ID:AVFEXgvo0
しばらく珈琲を口に運びながら無言で腰掛けていたが、やがてゆりあは遠慮がちに、


「あの…姉の事なんですけど…」と要件を切り出した。

以下略



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