過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―4―
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956: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/12/24(土) 12:28:27.00 ID:S6YpyFGu0
「うわっ、ピ、ピエリ。いきなりなによ!!!」
「ん、ルーナどうしたの? 箱の中、何か変な物でも入ってるの?」

 ルーナが閉じた箱を指差すピエリがそこにいた。同じように赤い上着に赤いスカート、薄地の赤い靴下、頭に乗せた赤い帽子は彼女がピョンピョンと動く度に軽やかに揺れる。どう見ても楽しんでいる子供そのもので、その能天気さをルーナはとてもうらやましく思う。

「ちょっと、一応仕事なんだから、ちゃんとしなさいよ」
「わかってるの。えへへ、この服ピエリ好きなの上も下も赤くてとってもきれいでとってもカッコいいのよ」
「はいはい、くるくる回るの止めなさい。スカートの中見られちゃうでしょ」
「別に減るものじゃないと思うの」
「女として最低限の配慮くらいしなさいって言ってるの」
「はーい、わかったのー」

 はしゃぐのを止めたけれど、ピエリは終始ニコニコと笑っていた。ニコニコと笑っているけど、歯が顔をのぞかせているその笑顔は果たしてこれからすることに向いているのかと言われると疑問が浮かぶ。共に剣を振るっているルーナから見て、その笑顔は敵を殺しているときによく見る顔だからだ。子供が見たら脱兎のごとく逃げ出すかもしれない。

「大丈夫かしら?」
「ルーナ、何が大丈夫なの? ピエリにちゃんと教えるの」
「別に何でもないわ。それよりもあたしたちの場所決まってるんだから、さっさと行くわよ」

 どうにかこのけったいな格好への羞恥心を消し去って、ルーナはようやく出発の準備を整える。白夜の職人がこの人のために組み上げた特注のソリに配布するケーキが入った箱を丁寧に入れていく。戦争が終わってから行われる大々的な行事ということもあって、その気合の入り方はすさまじいものだ。なにせ配布するケーキの箱には氷の魔術が掛けられており、明後日くらいまでなら保つことが出来るという配慮までなされている。正直、少々やりすぎだった。


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