過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―4―
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977: ◆P2J2qxwRPm2A[saga sage]
2016/12/24(土) 23:45:21.83 ID:S6YpyFGu0
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「おおーっ、ピエリさん。いやいや、今年も一段とお美しくなられたことだ」
「ありがとうなの! 伯爵さんのおひげもこの前より、もっとキュートになってるの」
「ははっ、そう言われたくて朝から入念に仕上げたからね」
「えへへ、でもお腹大きくなってるの。太りすぎなのよ」
「これでも絞った方なのだぞ」
「まだすごく肉汁でそうなの。豚さんと間違えて輪切りにしちゃいそうなの」

 パーティーの来客に挨拶をするピエリさんの後ろで、私は直立不動のままワインを持って待機する。ピエリさんから誰かの場所に行くことはほとんどない、向こうからこちらにやってくるという形だ。
 ピエリさんの子供のような振る舞いを多くの人は知っている。お転婆だ、空気が読めない、ズコズコ言ってくるし、気に入らないことがあればすぐに泣き始めると、大人が一番対応したくないタイプであることは明白で、それを避けているのか話しかけてくる人はほとんどいなかった。
 先ほど豚さんと間違えてと言われた伯爵様は、毎年毎年参加していることもあって、すべて大らかに受け止めている。というか、話をしている間、すごくうれしそうにしていたから、多分至福の時間を味わっているのだと思った。

「では、私はお父様とお話をしてまいりますので、この辺で失礼いたしますぞ」
「うん、パーティー楽しんでってなの。中央の大きなケーキはピエリも頑張ったからぜひ食べてほしいのよ」
「おおっ、それはとても楽しみだ。では……」

 ルンルン気分で去っていく伯爵様を見届けてピエリさんが歩き始めると、私もその後を追って足を進めた。
 足を進めても、多くの人たちは挨拶をするが話しかけてきたりはしない。あの伯爵様の様な方は多くはいないのだということは理解できた。なんというか、祝ってはいるけど、少し寂しく感じる誕生日パーティーだと思った。
 だけど――

「ふふーん。えへへ」

 ピエリさんは思った以上に嬉しそうだった。多分、あの伯爵様は毎年行われているこの誕生日会で話しかけてくる数少ない人の一人なんだろう。それもあって気分が高揚していると考えれば筋が通った。
 接近してくる人がいないからスムーズに会場を移動できるのはいいことで、ピエリさんは中央の配膳テーブルが並ぶ場所にたどり着く。そこには今日のために用意された料理が大量に置かれていて、その中でひときわ目立つのが大きなケーキだった。多分、さっきの話に上がっていたケーキとはこれのことだと思った。


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