過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―4―
1- 20
980: ◆P2J2qxwRPm2A[saga sage]
2016/12/24(土) 23:55:23.58 ID:S6YpyFGu0
「じゃっじゃーん。リリス、これ見てなの!」

 そうとても楽しそうにピエリさんが現れる。その身に着けているドレスを見て私はやっぱりそういうことですよねと、溜息を漏らす。
 ピエリさんは白いドレスを身に着けていた。元々選んでいたものじゃない、私が持つピエリさんのイメージで選んだあの白いドレスだ。
 無邪気にそれを見せびらかすピエリさんの姿はやはり無邪気で、その青とピンクの混ざった髪のおかげで白いドレスがさらに際立っている。

「ふふーん、リリスが選んでくれたドレス、とってもヒラヒラしてるの」
「なんで、私の選んだドレスを着るんですか。もっとこう、違うのにしてもよかったのに」
「だって、リリスが選んでくれたのよ。だって、今日のリリスはピエリのメイドさんなの。メイドさんを立たせるのも主人の役目なの」

 どこでそう言ったことを覚えてくるのかわからないけど、つまりは私が選んだドレスを見せびらかしたいということらしくて、なんだかこんな衆人の中に自分が思っているピエリさんのイメージを見せびらかしているみたいで、恥ずかしさを覚えてしまう。
 少しだけ顔が熱くなっているのを感じていると、私は手を引っ張られる。気づけばピエリさんに手を引かれてダンスの行われる場所に向かっているようだった。

「リリスはピエリと踊るのよ」
「え、わ、私ダンスなんて久しぶりなんですよ」
「ピエリも久しぶりだから問題ないの。それに、ピエリはリリスと一緒に踊りたいの」

 演奏が静かに始まる。私は否定の言葉も躊躇の言葉も出せないままにダンスの中心にピエリさんと一緒にいたった。
 伴奏に合わせてピエリさんがステップを静かに刻み始めて、私もそれに合わせて覚えている限りに合わせ始める。私とピエリさんが始めたのをきっかけに、周りの人たちも輪に加わり、まるで大輪の花が開くように人々が動き始めるた。

「えへへ、久しぶりって言ってたのに、リリスうまく出来てると思うの」
「ピエリさんも上手ですよ。本当に久しぶりなんですか?」
「……えへへ、実は違うの。少し前から練習してたのよ。リリスがピエリに付いてこれるか心配なの」

 少しだけ挑発するような笑みを浮かべるピエリさん、だんだんとダンスの難易度は上がっていく。姿勢もかなりきついし、何よりもここから足のステップが情熱的な物になってくる。でも、私はとても楽しかった。
 対面に見えるピエリさんの笑顔は頭上に光るシャンデリアよりも美しく感じるし、自分が選んだドレスも軽やかに舞っている。メイドの役目を任されただけでも、信頼の証だと言えるのに、私の選んだものを身に着けてくれて、尚且つこうやってダンスにも誘ってもらえた。普通のメイドならばこんなに名誉なことはないと思う。

「どうして、そんなに私の選んだものにしてくれるんですか?」
「今日の専属メイドはリリスなの。だからなの、それだけなのよ」

 どこか顔を赤らめて、ピエリさんがそういう。それが堪らなく愛おしくも感じた。
 交わることなんてないと思っていたお父様が憎んだ世界との繋がり、多分私みたいな中途半端な存在にはもったいないほどの物だと思う。
 だから、それを感じさせてくれるピエリさんに今日をめいいっぱい楽しんで貰いたくて、私はそのステップを刻み続けた。
 いくつものダンスを重ね、永遠に続くと思える夜の宴。そう思わせるようにして、盛況のままに誕生日パーティーは終わりを迎えた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1060.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice