過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―4―
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979: ◆P2J2qxwRPm2A[saga sage]
2016/12/24(土) 23:52:20.67 ID:S6YpyFGu0
 その答えにピエリさんが今日見た中で一番の笑顔を返してくれる。自分の作った料理を褒められてうれしかったということだと思う。なら、それをピエリさん自身も味わうべきと、その手に持った小皿を取ると、フォークで掬ってピエリさんに差し出す。

「それじゃ、今度はピエリさんの番ですね。はい、どうぞ」
「う、うん。あ〜んなのー」
「はい、あ〜ん」

 ピエリさんは私とは違って躊躇することなくケーキにぱくりとか噛みついた。ちゅるんという音がしそうな感じにフォークから唇を離すと、そのまま残りのケーキも食べさせてと目でせがんできた。

「はい、それじゃもう一口、あ〜ん」
「あ〜ん。んんー、リリスが食べさせてくれるケーキは格別なのよ」
「誰がやっても同じですよ。ピエリさんのケーキはとってもおいしいんですから」
「ううん、リリスがしてくれる方が一番おいしいの。ピエリ……そう思ってるのよ」
「え?」
「もう、残りも早く食べさせるの!」

 なぜだか、また顔を赤らめるピエリさんを見て苦笑する。照れ隠しのようにケーキを食べさせてと口を大きく開けて、私がケーキを運ぶのを待っていた。口の周りにはケーキのクリームがついていて、ケーキを全部食べさせてすぐにナプキンでその口を拭う。

「んにゅ、りりしゅ……ふにゃ」
「少しだけ我慢してくださいね」
「ふにゅ……ひやっ……んんんーっ」
「はい、綺麗になりました」

 先ほどまで、クリーム塗れの子供だったピエリさんはいなくなって見た目だけは大人のピエリさんが現れる。それと同時にホールの中央に空間ができ始め、二階の踊り場に楽器が多く並び始めた。

「これからダンスみたいですね。ダンスに参加される方々が集まっているみたいですよ」
「……あ! そうだったの! リリス、ここで待っててほしいのよ!!!」

 そう言ってピエリさんは一目散に会場を走っていく。追いかけるべきなのだろうけど、ここで待っているようにと言われた以上、私は動けない。よく見ると、走り始めたピエリさんに合わせて数名のメイドさんがそのあとを追っていくのが見えた。
 何か、私の知らないところで準備が成されているようで嫌な予感がした。そしてそれはすぐ目の前に現れる。


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