13: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:12:06.36 ID:9fy5FiS10
「こうする事を、誰かに話したりしなかったのかな?」
また私は、思いつきで適当な事を言ってしまった。
苛立たせただろうか。じーっと、京ちゃんの顔を見つめる。
意外と、考えの外だったのかもしれない。京ちゃんは目を見開いた。
「あれで結構抱え込むタイプだ。けれど他人に見破られない程演技派じゃない」
「……つまり?」
「染谷さんの処に行こう。優希と親しいだろ。何か知っているかもしれない」
「……そうだね。ねえ、京ちゃん」
「どうした?」
「私も優希ちゃんと親しいよ? 私には何か知ってるか、って、訊かないの?」
「え? じゃあ何か知ってるのか?」
「知らないけど」
「そういうコト! 咲も演技派じゃない」
……じゃあ、私の気持ちに気付いてるの?
わたしは京ちゃんを睨みつけた。けど、もう京ちゃんは私に背を向けていた。染谷さんのとこに行くんだ。
少し自分を恥じた。そうだ。今やるべき事を、やらないと。
「お、来たか京太郎。咲も。考えは視えとるぞ。大方、優希の事を訊ねに来たんじゃろう」
染谷さんは、私たちと年齢は一つしか違わないけれど、村の食堂で立派に働いている人だ。
愛想が良く、誰とでも分け隔てなく話すから、私たちとも親しく、優希はひときわ懐いていた。
今日も朝早いのに身だしなみを整えて、食堂の机を拭いていた。
「そうです。何か知りませんか!」
京ちゃんは声を荒げた。
染谷さんは首を横に振った。
どうやら有益な情報は得られそうにない――…
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