34: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:38:43.02 ID:9fy5FiS10
村に戻る途中。
馬に乗る京ちゃんの姿を見た。
怪我はしてるけど大事には至らないみたい。良かった。
そして、袋に詰めているのは、どうやら大岩土竜の遺骸の一部らしい。
役立ちそうだから持ち帰ったと京ちゃんは言っていた。中をちらっと見たけど、血にまみれてグロテスクだったから、すぐに顔を背けた。
「どうやって京太郎は、あんなバケモンをぶっ倒したんだ?」
「大岩土竜は、体の大部分を占める岩は途轍もなくカタいが、手足は爪以外そうカタくないんだ」
「ふむ」
「時間を掛けて手足を切り落とし、動けなくなった大岩土竜の眼球から、ゆるりと脳髄を突き刺したんだ。それで絶命した」
「よくそんなことが……」
「まあ、対策を練れば何とかなるって事だよ。俺も相手の事を知らなかったら、多分死んでたし」
「またのどちゃんの受け入りを……」
「うるせえ。それよりも大岩土竜の死体から採れるモノは高値で取引される。錬金術の材料にもなるし、正直、この程度の怪我で持ち帰れたのは幸運だった」
「優希ちゃんのお陰だね」
「きっつい皮肉だじぇ、咲ちゃん。ごめんって!」
村に戻って、大人たちに報告。
優希ちゃんは、御両親にたっぷり叱られていた。怒鳴り声が村全体に響きそうな御両親の怒り。正直可哀想だった。いや、しょうがないし、しかも私が言えた事じゃないけど。
後で聞いた話ではあれでも怪我して疲れてただろうから手加減してあげていたらしい。こわい。
「京太郎……! 怪我は……!」
京ちゃんのお父さんは、事のあらましを京ちゃんから聞くと、少し泣いて、少し怒鳴って、京ちゃんを抱きしめた。
お前は私の誇りだと、聞こえた気がした。
京ちゃんは、この騒ぎでまた一つ株を上げたらしい。優希ちゃんに感謝しなくちゃね。
そして、私たちは村の外れに移動した。
当初の予定通り、旅立ちの儀が行われる運びとなった……
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