過去ログ - 高垣楓に憧れていたモデルの話。
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3:名無しNIPPER[saga]
2016/07/01(金) 01:47:06.33 ID:YGge3a1w0

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「行きつけのお店があるんです」と、高垣さんのその言葉に甘えて、私たちふたりはそのお店に行くことになった。

 高垣さんの行きつけのお店……いったい、どんなお店なんだろう。私は不安になった。今持っているお金で足りるだろうか。足りなかったら、今度こそ地獄行き……そんなことさえ考えた。

 しかし、実際に着いてみると、そのお店は親しみやすい居酒屋だった。居酒屋と言うよりは小料理屋だろうか。高垣さんのイメージとは違ったが、なんだか、良い感じのお店だ。

 私がそう言うと、高垣さんは「そうですか?」と微笑んだ。「そう言われると、なんだか、私まで嬉しくなっちゃいますね」

 そんな風に微笑みを向けられて、私は頬がかあっと熱くなるのを感じた。やっぱり、高垣さん、綺麗過ぎる……!

 入ってすぐ、高垣さんは慣れた様子でお酒や料理を頼んだ。まずはお酒が来た。どうやら日本酒らしい。私はちびと口をつけ。

「っ〜!」

 思わず、私は口を抑えてしまった。身体が熱い。アルコールが強い。

「あっ……ごめんなさい。度数が高いお酒は苦手でしたか?」

「は、はい……すみません、先に言っておかなくて」

「いえ、私の方こそ、気付かなくてごめんなさい。……すみません、度数が低めで、おいしいお酒、お願いできますか?」


 うう……みっともない姿を見せてしまった。

 普段、私はそこまでお酒を飲まなかった。モデル仲間と一緒に飲みに行く時も、最初の一杯にちょっとアルコールを入れるくらい。
 それだけでほろ酔い気分にはなれるし、全員がつぶれちゃったらお店に迷惑がかかるし……まあ、理由はそんなところだったんだけど。
 ……ああ、こんなチャンスに恵まれるなら、お酒に慣れておけばよかった。今更後悔しても意味がないとわかっていても、後悔せずにはいられなかった。

 でも、『普段あまりお酒を飲まない』ということを言ってしまうと、高垣さんに『それならどうして誘ったのか』なんて思われるかもしれない。
 なので、そのことについては言わないでおくことにした。お酒が嫌いなわけじゃないし……いや、まあ、日本酒はちょっと苦手だけど。

 そうしているうちに、お通しと高垣さんが新しく頼んでくれたお酒が運ばれてきた。このお通しがまた絶品で、一口食べただけで「わ、おいしい」と口に出してしまったほどだった。
 それはすっかり高垣さんに見られていて、私はつい縮こまってしまった。彼女に見られていると思うと、なんだか、何をしていても恥ずかしいような気分になってしまう。

 その恥じらいを隠すために、私は苦手な日本酒に口を付けた、のだが……。

「んっ……」

 ……え? 何これ。おいしい……。

 その日本酒は今まで飲んできた日本酒と違って、すごく飲みやすくて……とても、とてもおいしかった。ふわりとした優しい甘さに、身体が温まるようで……。

「あ、あの、高垣さんっ。このお酒、すっごくおいしいです!」

 興奮気味に私が高垣さんの方を向くと、彼女はきょとんとして私を見ていた。
 私はまた自分が勢いで思ったことを口走ってしまったことに気付いた。顔が火照った。
 ……わ、私、高垣さんの前で、料理を食べたり、お酒を飲んだりしただけでこんなにはしゃいで……こ、子どもっぽいやつだと思われたかもしれない……。

「それは良かったです」

 しかし、高垣さんは笑顔でそんなことを言ってくれた。その声音は心なしかいつもより弾んでいるような気がした。



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