過去ログ - 開かない扉の前で
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107:名無しNIPPER[saga]
2016/07/17(日) 23:43:08.02 ID:MgYlpmbSo

「……ごめん」

 と、僕はとりあえず謝っておいた。
 多少驚いたし、いくらか傷ついてもいた。

 でも、それ以上に、誰かからそんなふうに思われているということに、
 気付けなかった自分の迂闊さが恥ずかしかった。
 
 とはいえ、それを気にしても仕方ない、と僕は頭を切り替えることにした。

 そんな僕の態度に、彼はいっそう腹を立てたみたいに眉を逆立てた。

 もしかしたら、聞こえないと思って言っていた言葉が聞こえていたと分かって、引っ込みがつかなくなったのかもしれない。

「おまえさ、人生楽しくねえだろ」

 何も言わずに、黙ってその男子の顔を眺めた。
 そして、なんだか不思議な気分になる。

 それ以上その場にいても、かえって気まずい思いをするだけだと思い、僕は彼らから視線をはずした。
 このあとはバイトが入っている。時間が余っているわけじゃない。

 僕は忘れ物を取りに来ただけだ。

 あんまり気にしないようにしたけれど、廊下に出たとき、思わず溜め息が漏れた。




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