過去ログ - 開かない扉の前で
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3:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:15:46.59 ID:BFmKl9Djo

 こんな想像をするからと言って、べつに叔父のことが嫌いだったり、叔父が死んだことを悲しく思っていなかったりするわけじゃない。

 素直に悲しんで見せるよりも、皮肉っぽい想像のなかに彼の死を閉じ込めてしまう方が、
 韜晦に満ちた叔父の生涯の締めくくりに捧げるものとしては、なかなかにふさわしい弔いのように、わたしには思えるのだ。

 実際、たいした隠蔽力だ。誰にも気付かれずにこんなものまで遺すんだから。

「これって、まさかとは思うけど」

 通帳の数字と日付、数年前からの定期的な入金の記録。
 祖母は「びっくりした」と言っているから、たぶん知らなかったのだろう。

「そう。あの子、あんた名義の通帳に、だいぶ入れてたみたい」

「なんでまた」

「なんででしょうねえ」

 呆れたみたいに、祖母は溜め息をついた。




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