過去ログ - 開かない扉の前で
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4:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:16:30.76 ID:BFmKl9Djo

 叔父が死んで以来、溜め息の数と暗い顔をしている時間が増えた祖母だったけど、今はどことなくうれしそうに見える。
 悲しいのを通り越したら呆れが、呆れを通り越したら笑いが湧き出てきたんだろう。

 祖母のそういう表情を見るのはひさしぶりだから、わたしはなんだかうれしくて、
 死んだあとでさえ人にそんな顔をさせられる叔父のことを考えて誇らしくなった。

 それと同時に、彼女の心を少しでも安らがせるためにも、はやくひき逃げ犯が見つかってほしいとも思った。

 きっと叔父自身は、気にしていないだろうけど。
 まあ、死んじゃったんだから、気にすることもできないんだろうけど。

「本当は、あんたが高校を卒業してから見せようかとも考えたんだけど」

 と、祖母は言う。

「……なんだか、秘密にしておくのも、ばからしくてね。わたしもおじいちゃんも、いつまで生きてるかわからないし」

 そうして彼女は困ったように笑った。




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