43:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:49:29.18 ID:b+Qvcd5ho
◇
関係者以外立ち入り禁止、の文字があった。
わたしたちはそれを無視して敷地内に忍び込んだ。
錆の目立つ大きなアーチをくぐった向こうには、閉ざされた大きな門が見えた。
幸いというべきか、もぐりこむのは難しくなかった。
少し草むらを経由すれば、すぐに園内に入ることができた。
その際ぬかるみで靴が汚れて声をあげたら、
「だからそんなので来るもんじゃないんだ」とケイくんは真面目な声で言った。
「どうしてそう、考え無しなんだ?」
わたしは大真面目に考えてから、
「天気予報で雨が降るって言われても、傘を持ち歩かないタイプなんだよね」
と答えた。ケイくんは、よくわからない、という顔をする。
「たぶん、どっか浮かび上がってるんだよ」
そんな話をしていたら、いつのまにか曇り模様になっていた空から、ぽつぽつと細かな雨が降り始めた。
「……最悪だな」、とケイくんは言った。
わたしは特に何も感じなかったけど、ひとまず頷いておいた。
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