過去ログ - 開かない扉の前で
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5:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:17:38.77 ID:BFmKl9Djo

 わたしは通帳の数字から目を離して、自分の湯のみに口をつけて、ずずっと緑茶をすする。

「どうして、わたし名義でこんなお金が?」

「口座は、わたしが昔、あんたのお母さんに作らせてたんだけど……どういうつもりなんでしょうね」

「大いなる謎ですね。親なき子だからですかね」

「どうでしょうねえ」

 肩をすくめた祖母の声をききながら、わたしは叔父がよく腰掛けていた定位置の方を見て、その空白をたしかめた。

 叔父は、金銭的に余裕がある生活を送っているようには見えなかった。
 口癖は「金がない」と「金がほしい」だった。

 結婚もしていなければ彼女もいなかったし、特に金のかかる趣味があったわけでもなく、
 酒も呑まず飲み会にもほとんど行っていなかった。




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