過去ログ - 開かない扉の前で
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53:名無しNIPPER[saga]
2016/07/07(木) 01:00:53.67 ID:btuqrQDio

 ケイくんは一度立ち止まって、わたしの方を見てから――どのわたしがわたしなのか分からなくなったみたいだった。

「ここ」

 と声をあげると、声の方向で本物のわたしの姿を見つけてくれた。

 彼はわたしと目を合わせて、溜め息をついた。

「……思ったより、混乱するものだな」

「足元を見るとかすると、分かりやすいかも」

「それじゃミラーハウスの楽しみがないだろ」

 ……目的を見失ってはいないだろうか。

 と、そこで、わたしは違和感の正体に気付いた。

「……ねえ、ケイくん」

「だから、なんだよ」

「照明が、ついてる」

 わたしの言葉にケイくんは天井に視線をやった。
 青白い照明が、ところどころから薄っすらと周囲を照らしてる。

 ケイくんは何も言わなかった。




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