811:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:51:01.06 ID:IXxsBwaSo
似たような扉が続いているだけの通路の、どちらに進めばいいと言うのだろう。
どちらにいってもどこにつくか分からないなら、どちらにいっても同じことかもしれない。
どちらかに何もないとわかれば、もと来た方へと戻ればいいだけだ。
わたしは、なんとなく、そちらの方が近かったからというだけの理由で、左の通路へと曲がった。
また、扉が延々と続いているだけだ。
扉は等間隔で続いている。
わたしはひとつひとつそれを点検していく。
開かない扉だけが立ち並ぶ通路のどこかに、例外が、あるいは、誰かの姿がないものかと。
やがて、また突き当りに差し掛かって、通路は左右に分かれていた。わたしはため息をついて、後ろを振り返る。
そのときになってようやく気付いた。
歩いてきた廊下が、なくなっている。
わたしのすぐ後ろ、さっきまで扉が並んでいた廊下がなくなって、そこには一枚の扉が正面に立っているだけだ。
その両開きの大きな扉に歩み寄り、わたしは輪のような取手を掴んで引いてみる。
開かない。
押してみる。開かない。持ち上げてみても、横にずらしてみようとしても、開かない。
開かない。
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