815:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:29:41.17 ID:J5LgB8ivo
◇
どのくらい歩いたかは、もうわからなくなってしまった。
ひとつの扉の前で立ち止まる。
それは見覚えのある扉だった。
何度も何度も、目にした扉だった。
お兄ちゃんの部屋の、扉だ。
どこまでも伸びる白い廊下の、その途中に、見逃しそうなくらいさりげなく、その扉はあった。
他のどの扉とも、違ったところがあるわけでもない。ただ何気なくあるだけだ。
それなのに、わたしにはその扉がそうだとすぐに分かった。
そうなのだ。
結局、わたしはこの扉の前で立ち止まってしまうのだ。
そして、ノブを捻ってしまう。最初から分かっていた。見た瞬間に気付いていた。
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