831:名無しNIPPER[saga]
2017/11/03(金) 00:19:40.83 ID:lNpLKx20o
「ケイくん、待って……」
「待たない」
ケイくんは、振り返ってもくれなかった。
「……なにか、怒ってる?」
ケイくんは、ほんの少し、ためらうみたいな間を置いた。
「べつに、そういうわけじゃないけど」
一歩進む度に、闇が深くなる。彼の姿も、表情も、わたしの目にはわからなくなる。
まだおぼろげに影が見えるうちに、彼の服の裾をわたしは掴んだ。
「ね、ケイくん……ここ、どこだと思う?」
ケイくんは、返事をしてくれない。
「ケイくん……?」
「分からない。たぶん、夢みたいなものなんだろうな」
「夢……?」
「そう、夢」
彼の口調が、どことなく、わたしを不安にさせた。
992Res/853.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。