859:名無しNIPPER[saga]
2017/11/05(日) 00:03:13.08 ID:5szBys0go
◇
わたしとケイくんの前に、階段がある。
石造りの黒い階段は、わたしたちの上方へと伸びている。
二人で並んで、昇っていく。
その先には、白い扉が見えた。
白い扉。見覚えのない扉。まだ、開けたことのない扉。
その先に、わたしたちは向かっていく。何が待っているのかも知らないまま、それでも。
その先に。
わたしたちは、扉を前に、目を合わせ、頷き合う。
わたしは、手を伸ばし、ノブを掴む。
扉は、簡単に開いた。
そして、光が溢れ、わたしは一歩、先へと踏み出す。
光に、わたしは覆われていく、その瞬間、突然に、
(――笑い声が聞こえる)
手が、手の中の手が、なくなっていた。
わたしは振り返る。
彼のからだが、宙に放り出されている。
何かに引きずられたように、暗闇の中に落ちていく。
わたしはその先に、黒い服の女を見た。
(彼女が牙を剥いて笑っている――)
けれどわたしのからだは既にそこにはなく、
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