過去ログ - 開かない扉の前で
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859:名無しNIPPER[saga]
2017/11/05(日) 00:03:13.08 ID:5szBys0go




 わたしとケイくんの前に、階段がある。
 
 石造りの黒い階段は、わたしたちの上方へと伸びている。
 
 二人で並んで、昇っていく。

 その先には、白い扉が見えた。

 白い扉。見覚えのない扉。まだ、開けたことのない扉。

 その先に、わたしたちは向かっていく。何が待っているのかも知らないまま、それでも。

 その先に。

 わたしたちは、扉を前に、目を合わせ、頷き合う。

 わたしは、手を伸ばし、ノブを掴む。

 扉は、簡単に開いた。
 そして、光が溢れ、わたしは一歩、先へと踏み出す。

 光に、わたしは覆われていく、その瞬間、突然に、

(――笑い声が聞こえる)

 手が、手の中の手が、なくなっていた。

 わたしは振り返る。

 彼のからだが、宙に放り出されている。

 何かに引きずられたように、暗闇の中に落ちていく。

 わたしはその先に、黒い服の女を見た。

(彼女が牙を剥いて笑っている――)

 けれどわたしのからだは既にそこにはなく、




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