過去ログ - 開かない扉の前で
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872:名無しNIPPER[saga]
2017/11/11(土) 00:20:17.50 ID:Ch5AfJxSo

「どうして……碓氷を刺したの?」

「どうしてだろうな」

「……」

「許せなかった。許したくなかった。でも……」

 でも、なんだ?

 続く言葉なんて、言い訳にしかならない。

「いいよ」

「……なにが?」

「たぶん、わからないから、もういいよ」

 そう言ってあさひはうつむきがちにコーヒーに手をのばす。
 僕もそれを真似て淹れてもらったコーヒーに口をつけた。

 美味しい、というのは分かる。
 これをたぶん、美味しい、と呼ぶんだろう、と、それは分かる。

 僕は責めてほしかった。
 責めて責めて責めて責め抜いてほしかった。

 間違ってるってそう言ってほしかった。

 ごめんなさいと、謝らせてほしかった。
 それは、でも、加害者の理屈だ。

 赦しを求めることすらも、おそらくはしてはいけない。
 裁かれることすらも、求めてはいけない。

 誰かを傷つけるというのは、たぶん、そういうことだ。




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