過去ログ - 開かない扉の前で
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874:名無しNIPPER[saga]
2017/11/11(土) 00:22:03.14 ID:Ch5AfJxSo

「それでも……」

 と、僕は言う。

「それでも、誰かを傷つけるべきじゃない」
 
「……」

 そうじゃないと、姉のことを赦してしまうことになる。
 でも僕は、もう、責める権利を失ってしまった。

 どんな理屈があっても、感情があっても、事実があっても、
 人を傷つけた人間は、人を傷つけた人間を責められない。

 それをもし認めてしまえば、
 理屈さえあれば、感情さえあれば、事実さえあれば、誰かを傷つけてもいいことになる。
 
 だから僕は……。

「綺麗な言葉だね」と彼女は言った。

「嘘みたいに綺麗な言葉」

 僕は何も言わない。




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