過去ログ - 開かない扉の前で
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883:名無しNIPPER[saga]
2017/11/15(水) 23:49:57.05 ID:lNunJpruo

 僕のいない世界。
 それはずいぶん簡単にまわりそうな気がする。

 何もかもがうまく回るような気がする。

 僕という余計な歯車をはじき出した機械。
 それはずいぶん綺麗に動きそうに思える。

 僕は所詮余計もので、いるだけ邪魔なまがいもので、
 不潔な生き物の卵で、
 所詮いつかは誰にとっても不愉快なだけの何かになる。

 それはもう決まっていることのように思える。

 そんなふうに思うのはけれど、あるいは自己憐憫にすぎないのだろうか?
 
 愛奈を守ろうと思った。愛奈のために生きようと思った。
 それはどうしてだ?
 
 それはきっと、そうでもしないと僕は、誰にも存在を許されないような人間のままだと思ったからだ。
 僕の醜さを僕は知っている。
 
 その縋りつくような惨めさを、僕だけは知っている。

 だからこそ僕は、誰かのために生きることでしか、誰かのために生きると決めることでしか、
 自分の存在を了解できなかった。

 自分がここにいてもいいのだと、どうしても思えなかった。

"Aliis si licet, tibi non licet."




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