過去ログ - 開かない扉の前で
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891:名無しNIPPER[saga]
2017/11/15(水) 23:55:31.20 ID:lNunJpruo

 小夜啼鳥。
 さよなきどり。
 よなきうぐいす。
 ナイチンゲール。

 さよなきどりの声。

 誰もが聞いている。
 当たり前のように、その声に励まされ、癒され、慰められている。

 僕は―― そんな声を聞いてみたかった。誰もが耳にしたことのある、その声を、僕も、聞いてみたい。

 けれど僕は、そんな声を聞いたことがない。そんなものがあるなんてことすら、信じられない。

 僕だけが、その声を聴くための聴力を持っていないかのような、そんな気さえする。

 鳥の声は、僕の耳には届かない。
 
 それとも、僕は、宝石細工の小夜啼鳥の出来損ないだろうか?

 使い物にならなくなって、誰にも相手にされなくなるだけの。
 同じ節ばかりを繰り返す、聞き慣れてしまえば退屈なだけの。

 ――なかなかいいこえでうたうし、ふしもにているが、どうも、なんだかものたりないな。

「……僕は、認められたい。必要とされたい。自分が、居てもいい人間なんだって、思いたい」

 どうしてだろう。
 どうして僕は、そう思えないんだろう。
 
 どうしてそんなことを、重要なことだと思ってしまうんだろう。




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