過去ログ - 開かない扉の前で
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907:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 01:04:58.71 ID:ogkZSEtjo

「……間一髪、で、間に合わなかったね」

 すみれの肩越しに、ざくろと目が合う。彼女はおかしそうに笑った。

「何の話?」自分に言われたものだと思って、すみれは訊ねる。
 それから、視線が彼女を向いていないと気付いて、こちらを振り返った。

「……遼一」

 すみれもまた、僕に気付いた。
 彼女は見慣れない黒い服に着替えていたし、片目が眼帯で隠されていた。
 それでもすみれはすみれだった。
  
 時間。
 
 僕は、何を言えばいいかわからなかった。
 ただ、高い場所に向かおうと思っただけだったのだ。

「結局ね、あなたたちは何も変えられないの」

 ざくろは、僕達ふたりを見下ろしながら、言う。

「なんにも、変えられない」

 すみれが、ざくろに向き直った。

「そんなの、分からない」




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