過去ログ - 北上「離さない」
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148: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/09(火) 15:23:35.32 ID:8dWkI+gE0


「おはようございます。提督、今日は何でしょう?」
「うーっす、連休はエンジョイしたか?少しはすっきりした顔してんじゃねえか。何?とうとうお店で一発抜いてもら…」
「ってませんから。ツーリング行って、後は設計書き放題でしたよ。その節はありがとうございました。」
「相変わらず冷てえなぁ…まあまあ、そんなお前にホットな話題だ。」


連休も終わり、ケイは早速執務室へと呼び出されていた。

提督が彼一人を呼び出す時は、重要な用事か、無茶なお願いかである。
そしてそれを見極める手段は、至極単純。
提督が提督然とした猫を被っている時は重要案件、それ以外の素のキャラでいる時はお願いの類だ。

主に開発での無茶なリクエストや、何かしらロクでもない私用の時のモード。
よって今回の提督からの話は、お願いの方らしい。

ケイの提督に対する冷淡な態度は、二人の信頼関係と、提督の堅い雰囲気嫌いによる所である。
これまで様々な案件をこなして来た故の砕けた関係だが、主にケイが災難を被って来たのは言うまでもない。

今回はどんなワガママが来るのか。
ケイがこれから来るであろう35歳児・役職大佐の世話に、磯風の焼いたサンマのような目を浮かべ始めると、目の前にはプリントが一つ。


「秋の軍内自動車訓練合宿……ああ、ノルマ最低2人の。」
「そうなんだよぉ〜、でもうち、車社会の片田舎じゃん?皆免許あるからどうすっかてさ。大本営もうるさいし。
誰か大型欲しい奴とかいない?宿代以外タダだし。3トン半駆る女はモテるよ?男も狩って積み放題だよ?」
「21股とかどんだけ肉食ですか。
うちじゃせいぜい2トンしか使わないですしねー…ああ、でも欲しがりそうなのはいるかも。」
「マジで!?じゃあお願いしよっかなー。」
「…1人ならラーメン、2人なら北口の回転寿司。」
「くっ…!北口のってかなりするとこじゃねえか…よし、飲もう!頼んだぞ。」
「了解しました。」


そしてプリントを片手に廊下を歩くケイの脳裏には、真っ先に緑のリボンが浮かんでいた。
普通免許しかない夕張であれば恐らく喰いつくであろうが、あともう1人は、誰に話しを振ったものか。

それを決めあぐねつつ、彼は3日ぶりに工廠の扉を開けるのであった。






「行く!」


駆け付け三杯ならぬ、駆け付け3秒。
ケイの思惑通り、夕張は即決で参加を決めたようだ。

いない間は少し大変になるが、そこは慣れたものだ。
さて、これであと一人。誰に声を掛けようか…と考えた辺りで、彼の携帯が震えた。


『今日お昼一緒に行こーよ。』


その通知を目に収めた時、不意に一台のバイクが彼の脳裏を走り、そう言えば免許は免許でも…と彼の中では解答が出た。




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