164: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/14(日) 00:36:47.36 ID:zSRVS9Wi0
「んー…まあでも、確かに寝汗ひどいねー。また風邪引く所だったよ、ありがと。」
「何事かと思いましたよ…さて!もう一回寝ましょ!」
「ヘイホーに追われる夢でも見たかな…?」
「それをスターで粉砕しまくったのはあなたですー。今度は負けないんだから。」
そして今度こそ二人は床に就いたかと思われたが。
北上はこっそりと自分のリュックを漁り、底からある物を取り出していた。
それは、いつもは彼女の部屋にある猫のぬいぐるみ。
まだケイが新人の頃。
彼を無理矢理遊びに引っ張り出し、その時彼がゲームセンターで取ってくれた物だった。
北上はそれをぎゅっと抱き締めると、ここにはない温もりを想いながら、強引に瞼を閉じる。
少しでも温もりを求めるように、深く深く。
“ケイちゃん……もうアタシには、ケイちゃんだけなんだ…。
だから誰にも、渡さない……!”
固く閉ざされた瞼は、今度はまばたきを忘れる程、固く開かれ。
その視線は夕張を射抜く訳でもなく、ただ目の前に広がる暗闇を見つめていた。
彼女自身が抱えた闇を、じっと睨みつける様に。
644Res/552.40 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。