271: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/09/13(火) 07:53:43.05 ID:khV+Eq69O
自室へ入ると、北上は制服のまま、どさりとベッドへと倒れ込む。
点けたテレビの音を聴きながら、そうしてぼんやりとする間に番組はいつの間にかニュースからバラエティに変わり。
ゲラゲラと笑うタレント達の楽しげな声は、彼女には遠いものに聴こえていた。
“北上さん、かぁ…さびしいなぁ……。あ、もう1時間経ってる。”
体を起こし、なんとなくいつものダーツに矢を放るも。
目が霞んでいて、ソフトチップの先は隣の柱に当たり、ぺきょ、と情けない音を立てて床に落ちた。
ずっと天井の照明を見ていたせいだろうか。
何故か滲んでいた涙を拭い、北上は閉じたままの小窓のブラインドへと手を伸ばす。
開ければ丁度ケイの部屋が見えるが、どうせ今頃は部屋にでもいるか、まだ工廠にでもいるかだ。
工廠にいたとしても、きっとそこには夕張もいる。
夕食を摂ったばかりだが、何だか丸齧りでリンゴでも食べたい気分だ。
そう思いながら外を見れば、案の定電気の消えている彼の部屋。
そしてふとベッドから降り、大きな方の窓から顔を出して、北上は下を向いた。
丁度部屋から3つ程右下辺りに、夕張の部屋がある。
ここも電気が消えていたなら、いよいよその通りだろうと下を見て。
彼女は一目散に部屋を飛び出し、工廠へと走り出した。
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