69: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/07/12(火) 04:58:46.55 ID:jl9oy6I4O
「くしゅんっ…!」
一方、その数時間前。
誰もが寝静まった頃、北上は自室で横になっていた。
少し風邪気味なのか、小さなくしゃみを一つ。
彼女は直後に身震いを覚えると、より深く布団を被る。
実は今日も、彼に会いに行こうと一度は工廠へ立ち寄っていた。
しかし中から聴こえる声と音に、ドアノブへと伸びた手を止め、しばし夕張が去るのを待っていたのだ。
だが、何時間待てども、一向に作業の音は止む気配もなく。
寒さに耐えかねた北上は、諦めて自室へと戻っていた。
開かれた携帯の画面には、ケイとのトーク画面が映し出されている。
そして打ち込まれたまま、今も送信ボタンを押せないままのメッセージがそこにはあった。
『ケイちゃん、会いたいよ。』
送信ボタンをタップしようとする指は、寸前で石のように硬直してしまい。
彼女はそのまま、アプリを閉じてしまう。
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