14: ◆NdSwyytUJslS[saga]
2016/07/15(金) 21:27:21.51 ID:2Lq8bAWao
「アンカーは?」
「最初に積み込んだよ」
「じゃあみんな乗り込もう」
隣の船は僕のものに比べればとても立派で、スターターの音も軽やかにエンジンは一発始動した。
かなり外洋にも出られそうな船だが、アンカーを気にしていたという事は今日は浅場で釣るつもりなのかもしれない。
「お気をつけて、良い釣果を」
「ありがとう、そちらも早く船が機嫌を直してくれるといいですね」
「ははは……まあ気長に待ちますよ」
エンジンの回転が上げられ、白い船体が後進する。
ゆっくりと係留の列を脱し、舵を握る男性は僕に軽く会釈をしてサングラスをかけた。
僕も会釈を返し、湾内を徐行しつつ出てゆく彼らを見送った。
港の出入り口があるその先、東の空は僅かに明るくなり始めていた。
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