24: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:07:21.06 ID:JY7Hx0GQ0
その夜、私はプロダクションに併設されている寮の屋上に出ていた。
二十三時の夜空には、一点の星も見当たらない。月は、薄い黒雲の向こう側で微かに光っているだけだった。
25: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:08:56.58 ID:JY7Hx0GQ0
のあ「私も、あんなふうに、」
誰かを見守る温かな光になれるだろうか。
26: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:10:10.09 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「どんなに見上げたって、星なんか見えませんよ」
27:名無しNIPPER[sage]
2016/07/27(水) 00:10:52.18 ID:k9+/ojff0
いい雰囲気だわ
28: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:11:41.11 ID:JY7Hx0GQ0
私の囁きを打ち破って、彼女の声が響いた。
彼女の声の余韻が、耳鳴りとなって私の脳を突き刺す。
29: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:12:48.27 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「おめでとうございます。ところで、のあちゃん。いくつか質問しても?」
のあ「今日の仕事のことかしら」
30: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:13:56.32 ID:JY7Hx0GQ0
のあ「何かが、変わる気がしたから。今まで真っ暗だった世界に、光が差し込むような、そんな」
ちひろ「そうですか」
31: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:15:32.14 ID:JY7Hx0GQ0
のあ「……ところで、私が変えたかったものだけれど。それは、今までの私よ」
ちひろ「今までののあちゃん、ですか」
32: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:17:16.50 ID:JY7Hx0GQ0
やけに口がまわる。思い出したくもなかった自分のことを、話してしまう。
のあ「代々、稀にこういう銀の髪を持った子供が生まれる。私の家族からすれば、それは驚くことでも何もなかった」
33: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:19:11.59 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「人真似がうまいのは、身を守るための策か何かですか? きちんと正解を選んで、人から叩かれないように」
のあ「……今更驚かないわ」
34: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:20:26.28 ID:JY7Hx0GQ0
彼女は、再び空を仰ぎ、黒い緞帳の向こうで輝く星を見極めるように目を細めた。
ちひろ「でも、わたしは思うんです」
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