31: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:15:32.14 ID:JY7Hx0GQ0
のあ「……ところで、私が変えたかったものだけれど。それは、今までの私よ」
ちひろ「今までののあちゃん、ですか」
32: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:17:16.50 ID:JY7Hx0GQ0
やけに口がまわる。思い出したくもなかった自分のことを、話してしまう。
のあ「代々、稀にこういう銀の髪を持った子供が生まれる。私の家族からすれば、それは驚くことでも何もなかった」
33: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:19:11.59 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「人真似がうまいのは、身を守るための策か何かですか? きちんと正解を選んで、人から叩かれないように」
のあ「……今更驚かないわ」
34: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:20:26.28 ID:JY7Hx0GQ0
彼女は、再び空を仰ぎ、黒い緞帳の向こうで輝く星を見極めるように目を細めた。
ちひろ「でも、わたしは思うんです」
35: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:21:52.37 ID:JY7Hx0GQ0
見えない星――今もこの空の向こうには、星が鏤められているはずだ。しかし、それは私達には見えない。
見えないということは、そこにないのと同じことだ。
36: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:23:20.12 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「プロデューサーさんは、よくアイドル達は星なのだと言います。わたしも、それをすべて否定することはしません」
ちひろ「たとえ見えなくたって、その輝きを伸ばして、その子の魅力をファンに伝えることがプロデューサーの役目なんだと、彼は言っていました」
37: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:24:53.89 ID:JY7Hx0GQ0
全ての星を輝かせることは、幾ら大きな力を持っていたとしてもできることではない。彼女はそう言っていた。
でも。
38: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:27:42.61 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「彼女は夢を諦め、憧れることを辞め、大それた夢を抱いた自分を憎み、いまだ上を向き続ける少女達を羨み、全てを失ったと嘆きながら脱落していきました」
ちひろ「のあちゃんは、その子と似た目をしているんです」
39: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:29:15.02 ID:JY7Hx0GQ0
のあ「……そう、ね」
私は空を見る。
40: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:31:03.34 ID:JY7Hx0GQ0
――もしも私が変われば、私は卯月のようなアイドルになれるのだろうか。
温かな表情を浮かべ、誰かを元気づけられるアイドルになれるのだろうか。
もし、そうなら。
41: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:32:33.33 ID:JY7Hx0GQ0
翌朝、いつものように事務所に赴いた私は、まっすぐにプロデューサーのもとへ向かった。
P「おお、高峯か。おはよう」
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