106: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/17(水) 10:31:47.69 ID:90KdAnqB0
雰囲気を察したのか、塩見さんと一ノ瀬さんはおとなしくなった。
「どうかな。月を描くには地球からの方がいいと思うんだ」
「えー、でもそれは誰にでもできるよね? プロデューサーさんにしか見えない景色ってあるんじゃないのかなー」
「あるのかもしれない。でも、近づけば見えなくなる景色もあるんだよ」
「なら、戻ればオッケーだよ! 二歩進んで三歩下がればあら不思議……あれ? 下がってるねー」
ころころと笑う宮本さん。その言葉は核心を突いている気がした。
「……一理ある。ふむ、考え過ぎていたのかな。……そういやどうして急にこんな話を持ちかけてきたの?」
「うーん、あのね、喧嘩しちゃったのかなーって。カナデちゃんなんか疲れてるみたいだよ?」
「疲れてる、ね」
先日のカフェ以来、お互いに忙しくてあまり顔を合わせる機会がなかった。ただ、そういう変調を見逃しているあたり、俺は間違えているのかもしれない。
「うん。最近会ってないって不満そうだったし、なにかあったの?」
「まあ、ないとは言わないよ。喧嘩じゃないけどさ」
「カナデちゃんああ見えて、意外と寂しがり屋だよ? プロデューサーさんが嫌なら仕方ないけど、アタシは仲良くしてるふたりのほうが嬉しいかなー」
「嫌じゃないよ……」
でも、それだけでもない。たぶん、俺は得意じゃないから。誰かと必要以上に親しくしたり距離を詰めるのは、得意じゃない。
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