108: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/17(水) 10:39:12.85 ID:90KdAnqB0
パソコンに向かうと指は動く。
頭に浮かんだアイデアを結びつけていくだけで、自然と企画書は形になっていった。
結局、その日は残業をして完成させた。
大したことはできない。だからこそ、できることを詰め込んだ。
翌日、千川さんに提出すると満足そうにうなずいてくれた。
これで俺の問題は解決できた。良し悪しは定例ライブ当日になるまでわからないけれど。
なんにせよ、あとは速水さんに注力できる。
きっかけとしては都合のいい日取りだ。
用意はしている。考えが纏まらなかったある日、定時退社の後に気分転換も兼ねて、駅周辺をそぞろ歩いた。
そこでちょうどいいものを見つけた。即決だった。そのときはこの決断力を仕事に活かしたいと苦笑いしたものだが、今となってはいい判断だったと思う。
レッスン室の前に待機する。入っていってもよかったが、そろそろ終わる頃合いだろう。邪魔するのは忍びない。
それから三十分後、レッスン室から出てきた速水さんは、俺の顔を認めて微笑んだ。
「あら、今日も会えないかと思ってたわ。ここのところ放置されてたし」
「悪かったよ。でももう終わったから。ちょっとだけ付き合ってもらってもいいかな」
「へえ、期待してもいいのかしら」
「あー、まあ……うん。多少は応えられるかな」
「楽しみにしてるわね、ふふっ」
「お手柔らかにお願いします」
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