16: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 21:26:49.63 ID:pU98D89e0
今日は速水さんのレッスンに同行することにした。
狭いレッスン室の端にパイプ椅子を配置し、準備完了。ウェアに身を包んだ速水さんの側に寄る。
「とりあえずいつも通りにやってほしい。もしなにかあれば都度指摘するから」
「ええ、わかってるわ。でも……プロデューサーさん、初心者なんでしょ? 大丈夫なのかしら」
「初心者の視点てのも侮れないんだぜ。なんせファンはみんな素人なんだから」
「……たしかにそうかもね。うん、ちゃんと見ていてね。巧く踊って歌うから」
「もちろん。楽しみにしてるよ」
そのために来ているのだから。
メニューはボーカルとダンス。その後定例ライブで歌唱する楽曲を、本番同様に一曲通してダンスを交えて歌ってもらう。
さて鬼が出るか蛇が出るか。
レッスンが進むにつれて俺は困惑していく。ボーカルにせよダンスにせよ、とてもここ数ヶ月で始めたとは思えないほどの質だったからだ。
当然、まだ完璧ではない。細かいミスはある。しかし、勘がいいらしく、トレーナーさんに指摘された箇所を即座に修正していく。
仮免プロデューサーの俺から見ても、速水奏は才能に恵まれていた。
しばらくして休憩に入ったのを見計らい、俺は確認するためにトレーナーさんに近寄り声をかけた。
「お疲れ様です。今話をしても大丈夫ですか」
「ええ、大丈夫ですよ。どうかしました?」
「ちょっと速水について聞きたくて」
「あっ、プロデューサーさんはまだ新人ですもんね。なにか気になることでもありましたか?」
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