23: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/29(金) 02:28:34.41 ID:uqaGoxoH0
「……そんなことはないと思うけど」
「いいや、俺たちプロデューサーの責任だ。職務怠慢だよ。申し訳ない。努力が結果に結びつかないのはしんどいものだ」
「…………」
「もちろん、この先どうなるかなんてわからない。それでも、速水さんさえよければ、定例ライブまでは付き合ってくれないかな」
頭を下げる。虫のいい言葉だ。でも、恐らくお互いにとってここはチャンスなのだ。きっと先輩もそう考えて俺に任せてくれた面もあるはず。
沈黙。たっぷり五秒が経過して、速水さんは口を開いた。
「まるで私が辞めるとでも言わんばかりね。そんなこと一度も口にしていないけど」
「その選択肢がいつでもあるのは事実だろ? それにプロデューサーを変えることだって可能だ」
「随分と殊勝なのね。そう……、じゃあ、キスしてくれたら考えてあげる」
俺が頭を上げると、速水さんはいたずらっぽく笑って、そのピンクな唇に指を添えた。圧倒的な淫靡だった。
なんかもう、理性とか法律とか、そういうしがらみをすべて無視したくなる、恐ろしい魔力を秘めていた。
「……仕方ない」
俺は立ち上がり、速水さんに一歩近づく。速水さんが息を呑んだのがわかった。
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