31: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/30(土) 04:02:38.10 ID:9se+2GXe0
ここまで揃っているのに活かせていないのだから、なかなかどうして上手くいかないものだ。
「そう思うならキスしてくれてもいいんだよ」
「俺としてはしたいんだよ? でも都条例が許してくれないんだ」
そのとき、廊下からきゃぴきゃぴとした話し声が聞こえた。
「でも、あれだな。バレなければいいのかも。目を閉じて」
「ふふっ、いけない人ね」
悪意的に口角を上げる速水さん。どうやら俺の思考を読んでくれたらしい。彼女はそっと目を閉じる。
俺は彼女の側に寄って、ゆっくりと顔を近づける。遠すぎず、かといって近すぎず。邪推されそうな距離を保つ。
扉はすぐに開かれた。
「お待たせー! って、あんたたちなにしてんのぉぉぉぉぉ!?」
直後、城ヶ崎さんの声が木霊した。
◇
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