72: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/04(木) 02:10:22.35 ID:pTgjkfxw0
「美波はすごいね。私にはまだ具体的に掴めていなくて、今も迷ってる」
速水さんは弱音を吐き出すみたいに、苦しそうに言った。力不足を痛感する。
「私は奏さんもすごいと思うよ。ダンスも歌ももう追いつかれそうだし、あと一歩踏み出すだけなんだよ。たぶん、奏さんの答はプロデューサーさんが持ってるんじゃないかな」
「やっぱりそうなのかしらね」
「…………」
「もちろん、他人から教えられてどうにかなる話じゃないと思う。こういうのって結果は同じでも自分で納得しないと受け入れられないし、きっと理解もできないからね。もし、奏さんが気づけたら、確かめてみるといいと思うよ」
「ええ、ありがとう。実を言うと少しはわかったの。ただ、漠然としていて、上手く言語化できていなくてね」
一瞬、俺に視線を寄越す速水さん。アイドル探しの旅はここで終わりだろう。
新田さんは嬉しそうに手を打ち鳴らした。
「じゃあ、あと少しだね! ここからはプロデューサーさんの仕事かな? 私が帰ったらふたりで話してみるといいかも。ふふ、楽しみだなぁ」
「そうするわ。美波があっと驚くアイドルになるから楽しみに待っていてね」
「うん! プロデューサーさんも頑張ってくださいね!」
「ああ、今日はありがとう。じゃあ帰ろうか」
こうしてアイドル探しの旅は終わりを告げた。
でも、旅の終着点は、まだまだスタート地点に過ぎない。だとしたら、速水奏をどこに連れて行けばいい? 答は出ないまま、俺は車を走らせた。
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