8: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:18:46.32 ID:pU98D89e0
そして研修を終えてから一日経った今日、俺は速水奏と対面することになった。
談話室の柔らかすぎる椅子に深く座って担当となるアイドルを待つ。資料には目を通した。スリーサイズを空で言えるぐらいには熟読した。
扉が開いたのはそれから三十分ほど経った頃だった。
先輩に促されて目の前の椅子に腰を下ろした速水奏は、とても十七歳とは思えない容姿と雰囲気をしている。
妖艶と神秘を混ぜ合わせて、儚さで割ったイメージ。
今だって半信半疑だ。どうやら高校が終わってから来ているようだが、制服を着ていなかったらとても信じられないだろう。
先輩は立ったまま、俺を指差して速水さんに微笑んだ。
「こいつが今日から速水のプロデューサーだ。まあ見ての通りに頼りない奴だ。しかも新米とまできてる。ただ、比較的優秀だとは思う。敬語も気も使わなくていいからよろしくやってくれ」
そう言うと忙しなく談話室から出ていく先輩。去り際にじゃっ、あとは若いふたりにまかせるわ! なんて置き土産を残していったせいで、部屋にはなんとも言えない空気が漂った。
「お見合いかよ……」
独りごちると速水さんはふふと小さく笑った。どうやら見た目の印象ほど取っつきにくいわけでないらしい。
雰囲気がマシになったのを見計らって、手始めに軽めの挨拶。努めて明るい声音を作る。
「ええと、まあ紹介に与ったとおり、今日から速水さんのプロデューサーになった。よろしく頼むよ」
すると速水さんは蠱惑的に微笑む。
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