7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:25:56.93 ID:zwFp5FfU0
あの日の帰りのタクシーの中で、私は何度も何度も初めてもらったファンレターを読み返した。
宛名の字と同じ、お世辞にも綺麗とは言えない字ではあったが、心の籠った丁寧な手紙だった。ちゃんと私の事を見てくれているのがしかkりと伝わってくる、あったかい手紙。
今でも大切にとってある。私のファン一号さんからもらった初めてのファンレター。私のたからもの。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:26:33.35 ID:zwFp5FfU0
デビューしてからと言う物、徐々にではあるが私も人気が出てくれた。
自分で言うのはおこがましいかもしれないが、それこそトップアイドルに近い所まで来たのではないだろうか。
もちろん、誰かがそう評価してくれたわけではにのだが、私には根拠があった。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:27:00.82 ID:zwFp5FfU0
「んー……」
もちろん貰ったファンレターにはすべてに目を通しているのだが、昔と比べたくさんもらえるようになった今では、帰りの車内で読めるものにも限りがある。
「あ! あった!」
10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:27:45.48 ID:zwFp5FfU0
ファン一号さんはデビューしてからと言う物、私が出ているイベントやライブのすべてに来てくれているようで、毎回毎回ファンレターをくれるのだ。
いつも慌てて書いるのか、お世辞にも綺麗とは言えない字で、封筒の糊付けは乾いていないままと言う、初めてもらったファンレターと変わらないままで。
「いやぁ、俺には無理ですよ」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:28:12.68 ID:zwFp5FfU0
「さて、じゃあそろそろ帰りましょうか」
「はーい☆」
「俺もすぐに追うので先に行っててください」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:28:44.70 ID:zwFp5FfU0
「ねぇ、プロデューサー」
もうすぐ私のアイドル人生で一番の大きなライブが始まる。
「なんですか?」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:29:12.32 ID:zwFp5FfU0
まるで夢のような時間だったと思う。
まさに私が子供の頃に思い描いた理想とまったく同じ光景がステージの上には広がっていた。
私が出てくるのを今か今かと待ちわびるファンたち。私が出ていくと歓声に包まれる会場。
14:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:30:02.01 ID:zwFp5FfU0
彼の力強い返事を聞いた私は、椅子から立ちがり自分の鞄の中から紙の束を取り出した。
「……すごい数ですね。全部ファンレターですか?」
「うん☆ それも全部ファン一号さんからだぞ♪」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:30:38.92 ID:zwFp5FfU0
「……すみません」
「なんで謝るの?」
私が追及すると彼は居心地悪そうに体の向きを何度か変えた後に口を開いた。
16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/01(月) 23:31:27.51 ID:zwFp5FfU0
ずっと、どんな人なんだろうと考えていた。ファンレターを貰うたびにずっと。
「……」
彼は無言のままで、私の推理が正解とも不正解とも教えてはくれない。
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