過去ログ - 海辺の町と赤く染められた国
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103: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:21:05.44 ID:Hr1jCc1H0
「実際に悪い方向ではないか!逆に何が進んでおるのだ?!エヴァン!」
「そう言う事ではない!首相閣下に向かってのお言葉が過ぎるのだ!」
「言葉狩りは辞めてもらいたい!今はそんな事を論じておる場合では無いことが分からぬのか!」

二人の意味の無い論戦にウォルフは辟易としていた。
以下略



104: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:21:49.26 ID:Hr1jCc1H0
彼は窓を見上げた。眩い赤い光が彼を射す。

…ずっと太陽の光は赤色だ。
あのキラキラした黄色い太陽、抜けるような青空は今は見る事が出来ない。
そして気温の変化が殆ど見る事がない。
以下略



105: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:22:48.99 ID:Hr1jCc1H0
作物は採れず、家畜は死に絶える。
水分の補給もままならない。一日一回の配給があるだけだ。
こんな状況で人が暮らしてはいけない。
毎月数千人規模の死者が出ている惨状であったのだ…。

以下略



106: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:23:37.92 ID:Hr1jCc1H0
「…私自身も、閣下一人に責任を押し付けている訳ではない…」

アビルが絞り出すように声を上げる。
その言葉にインカが閉じていた目を少し薄める。

以下略



107: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:24:34.87 ID:Hr1jCc1H0
「開門の…許可を…頂きたい!」

その言葉にインカは軽く笑った様に見えた。

「閣下…やはり現状は異常なのです…ですから…」
以下略



108: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:25:30.27 ID:Hr1jCc1H0
まただ…この議論では結局この堂々巡りに過ぎない。

自分がこの席に座る様になってからずっとこの議論だ。
この議論の結論は出ないんだ。
ウォルフは溜息が出そうになる。
以下略



109: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:26:27.20 ID:kqsr3JY+0
結局は…。
彼は再び窓の外を見つめる。赤色の光り。終末を感じさせる空。
どちらが先に自分の論調に有利な…王を擁するか…。
それに尽きてしまう。
その為に…両派の間諜達が暗躍していた。
以下略



110: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:27:42.19 ID:kqsr3JY+0
自分の目に光りが当たっているのが分かった。
ゆっくりと目を開けると窓の外からの強い朝日が差し込んで来ていた。
私は一旦寝返りを打ち再び目を閉じたが思い返して目を開ける。
そしてベッドに身を起こすと差し込んで来る光りを見つめた。
眩しい赤色の光りが暗い部屋の中を照らしている。
以下略



111: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:29:02.72 ID:kqsr3JY+0
足元の岩で出来ている崖は赤い太陽に照らされて赤く染まっているので世界が赤く見える。
唯一、小屋の後ろ側へと広がっている森だけが黒々と見えていた。

崖は私の両側へと広がり遥か彼方にある稜線と繋がっており、向こう側は少し低い山へと変化していた。
崖の下には広大な森が広がっており、向こう側にある山と合わせると、崖の下は盆地になっているのだ。
以下略



112: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:30:11.91 ID:kqsr3JY+0
私の視線は遥か向こう側の山の稜線へと向けられ、その一瞬を見逃すまいと思っていた。
轟音が更に大きくなった瞬間に山の稜線の先に大きな波が飛沫を上げて高く舞い上がる。
と、同時にその波は一気に山の麓へと流れて行った。
その大量の水は山を下り一気に盆地の森を飲み込んでいく。その後に続いてザーッ!と言う轟音が私の耳へと届いて来た。
音のズレがその光景を更に神秘的に魅せるのだ。
以下略



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