過去ログ - 海辺の町と赤く染められた国
1- 20
47:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:12:21.25 ID:1/zk8vPV0
祖母が笑いながらそう言う。祖母は僕が小さい頃からいつもヒーローになる事を応援してくれていたんだ。

「うん!じゃあ!」
「今日は皆、ウチに集まって宴会だからね、一杯料理作っとくからお腹空かせてなさい」

以下略



48:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:14:44.16 ID:1/zk8vPV0
家を出て途中で墓に寄り爺ちゃんの墓参りを済ませた。
そして僕はそのまま山の中に入っていく。
しばらく山道を歩くと高い木々に囲まれた少し開けた場所に出て来た。

「よし…じゃあやるか…」
以下略



49:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:16:13.00 ID:1/zk8vPV0
これを僕は昔から行っていた。
この修行はスプラッシュトルネードを繰り出す為のものなんだ。

まあ…どれ程の効果が有るかは分からないんだが…。
だけど、祖母の家に来る度に夏、冬、春休みや、大型連休等、毎回行っていた。
以下略



50:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:17:00.55 ID:k0/bWBKq0
僕は目を閉じて深呼吸をする。
よし…。いける!

「ダアアアアアクネス…スプラッシュトルネードオオオオオオ!」

以下略



51:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:17:36.85 ID:k0/bWBKq0
「…それ、出来るの…?」

僕がうずくまっている後ろから声が聞こえた。
奈緒が立っていた。

以下略



52:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:18:28.15 ID:k0/bWBKq0
「どうだった…?俺、惜しかったかな?」
「う〜ん…何て言うか…目を閉じてブンブン腕を振り回してるだけ、みたいな…」

うわ、かっこ悪!

以下略



53:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:19:31.49 ID:k0/bWBKq0
「よいしょっと…」

奈緒は僕のうずくまっている隣に腰掛けた。
僕も体勢を変えて奈緒と同じ向きに座った。

以下略



54:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:20:28.08 ID:k0/bWBKq0
「…結局、最後まで修行をしてたのは達矢だけでしたね…」
「…って、言うかお前らが飽きるのが早過ぎね?」
「そうかな?」
「そうだわ!信一は三日で辞めるし、お前に至っては薪にキティちゃんのシールを貼って見てただけじゃねーか!」
「あはっ、だっけ?」
以下略



55:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:21:35.23 ID:k0/bWBKq0
「…五年経ったんだな…」

しばらくの沈黙の後に僕が口を開いた。

「うん…」
以下略



56:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:26:48.97 ID:k0/bWBKq0
五年前の夏、この海で奈緒の父親…津村秀樹は亡くなった。

それは激しい夕立が降り注ぐ中での出来事だ。
目の前にあの時の情景が浮かぶ…。
遠くで響くサイレンの音。そして雄叫びの様な声を上げる奈緒の母親…。
以下略



57:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:27:50.59 ID:1/zk8vPV0
…津村秀樹は泳ぎが苦手ではない。いや、どちらかと言うと得意だったんだ。

だって彼は…全日本の百メートル自由形の優勝者だったから。

でも彼は水死した。
以下略



204Res/130.28 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice