66:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:36:18.78 ID:1/zk8vPV0
「うわああああん!奈緒が水筒投げたあああ!」
「うるさい!じゃあね!」
奈緒は怒って一人立ち去って行ったのだった…。
取り残された僕は顔を押さえながら一人空を見上げる。
67:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:37:00.49 ID:1/zk8vPV0
「…無理…なのかな…」
そう呟いた後にドン!と言ういつもの耳鳴りが響く。
又だ。
最近たまに鳴る耳鳴り。
68:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:37:54.48 ID:1/zk8vPV0
津村秀樹が亡くなった後。中学二年までは毎年僕は家族でこの海に来ていた。
勿論奈緒達の家族も一緒だ。
だけど、中三の時は僕は来る事が出来なかった。
そして去年も。
今年は急に行こうと思い立った。
69:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:38:34.30 ID:1/zk8vPV0
「てか、何でチャリなのかが分からないっしょ!」
そう信一が笑いながら酒を飲む。
「うるせえ!ムシャ、修行の一環に決まってんだろうが!ムシャ」
70:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:39:20.33 ID:1/zk8vPV0
「そうなんだよ、ウチはカカア天下な家庭になりそうで」
「アンタと結婚する気はないから!」
その言葉に親戚の大人達が笑っていた。
71:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:40:12.95 ID:1/zk8vPV0
「こいつは、いつかそれに成れるって思って…あれ幾つの時だっけ?ずっと変身ポーズをしてたの」
「小四だ」
信一の言葉に僕は魚を突きながら答える。
72:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:40:50.69 ID:1/zk8vPV0
「自分で行きなさいよお…」
奈緒はそう言いながらも立ち上がりご飯を入れに行ってくれた。
「ああ、奈緒ちゃんは良い嫁さんになるわねえ達矢ちゃん」
73:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:42:25.47 ID:1/zk8vPV0
「毎日、毎時間やってくるし…昼休みも私の教室に来てお弁当食べて行くの…お陰で皆にからかわれまくって…ハァ…」
「学校公認の仲なんです」
「アンタは自他共に認めるストーカー!」
皆が笑っていた。
74:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:43:33.11 ID:1/zk8vPV0
「なんたって…インターハイで百メートル自由形の大会記録を作って日本一に成ったんだからなあ」
叔父さんはビールを飲みながらシミジミそう言った。
「あの…達矢ちゃんがねえ…おばちゃん感動だわ」
75:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:44:14.30 ID:1/zk8vPV0
だが…。
僕はこの写真が嫌いだった。完全に目が死んでるんだ。
何かプールで潜っていて水面に浮かんだら誰もいませんでしたって顔に見える。
僕は何も言わずに黙ってご飯を口に入れた。
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