73:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:42:25.47 ID:1/zk8vPV0
「毎日、毎時間やってくるし…昼休みも私の教室に来てお弁当食べて行くの…お陰で皆にからかわれまくって…ハァ…」
「学校公認の仲なんです」
「アンタは自他共に認めるストーカー!」
皆が笑っていた。
74:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:43:33.11 ID:1/zk8vPV0
「なんたって…インターハイで百メートル自由形の大会記録を作って日本一に成ったんだからなあ」
叔父さんはビールを飲みながらシミジミそう言った。
「あの…達矢ちゃんがねえ…おばちゃん感動だわ」
75:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:44:14.30 ID:1/zk8vPV0
だが…。
僕はこの写真が嫌いだった。完全に目が死んでるんだ。
何かプールで潜っていて水面に浮かんだら誰もいませんでしたって顔に見える。
僕は何も言わずに黙ってご飯を口に入れた。
76:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:44:47.42 ID:1/zk8vPV0
「おい、何を黙ってんだよ、ほら飲め!」
信一が僕にビールを差し出してきた。
「お前、高校生に酒を勧めてんじゃねーよ!…泡立てんなよあんまり」
77:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:45:39.71 ID:1/zk8vPV0
…正直、僕は目立ちたがり屋だ。
いつも自分を中心に話をして欲しい位の目立ちたがり屋だ。
だけど…この話は嫌なんだ。
もう一度写真を見る。
78:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:46:17.22 ID:1/zk8vPV0
あの日僕は最高に調子が良かった。朝起きた瞬間に感じれた。
今日なら越える事が出来るって。
絶対に50秒の壁を越えれるって思っていた。
実際に泳いでいる時も感じれた。一番速いって。
いつも失敗するスタートも上手く出来た。そして得意のターン後もいつもよりスピードが乗っていた。
79:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:47:17.38 ID:k0/bWBKq0
だからゴールした瞬間にすぐに確認したんだ。順位なんかどうだって良かった。
そんな事よりもタイムだった。
だけど…掲示板に映った表示は『50.08』の文字だった。
大歓声が上がっていたと思う。だけど僕の耳には全く届かなかった。
80:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:48:28.04 ID:k0/bWBKq0
そう、津村秀樹は非公式で50秒の壁を越えたんだ。
現在の日本記録は40秒台だ。だけど当時は皆50秒の壁を越える事に必死だった。
彼は一度だけ越えた事があるらしい。
その時は水の色が変わる…そう彼は言っていた。
81:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:49:24.52 ID:k0/bWBKq0
僕の中に「諦め」と言う言葉が出てしまった。
だからかもしれない。
今年この海に来たのは。部活を休んでこの海に来た。
顧問達は怒っていたが。
82:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:50:21.11 ID:k0/bWBKq0
「色々…難しいよね…ヒーローに成るって」
皆が騒いでいる中、僕はそう独り言をポツリと呟く。
ドン!
また、あの耳鳴りがした。
83:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 13:51:35.87 ID:k0/bWBKq0
そこに、そのドルフィンブルーのDVDがあり、思わずそれを観てしまったんだ。
そこからだった…僕がそれにハマッたのは。
気がつくと津村秀樹に頼んでそれを毎日観るのが僕の日常になっていた。
内容は…まあ、海の面積が広がり、それに伴い巨大海洋生物が増えたのでそれを退治する為にドルフィンブルーが生まれた…。
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