過去ログ - 【がるぱん】ペパロニ「アンチョビ姉さん、私の彼女になってほしいっす」
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51:KASA[saga]
2016/08/11(木) 21:23:27.42 ID:INym7w9bO
「姉さん」

 聞き間違いようもない。

 呟かれたペパロニの声は、かすれて、震えていた。

 それまでかたくなに閉じられていた唇が、かすかに開いて、ふるふると震え始める。

 しだいにその揺れがひどくなり、口角がひっきりなしに隆起するようになった。

 二つの瞳はいまだになんとか強がりを続けているけれど。

 二本の眉毛は、すでに急角度に傾き始めている。

「……はぁっ……あっ……」

 ペパロニの口が、酸素を求めて喘ぐように、なんどもパクパクと開かれる。

 同時に、引き付けをおこしたような、押し上げられたような吐息がもれている。

 もう、その頃になるとその表情ははっきりと崩れていた。

 顔のあちこちが震え、どこもかしこもが歪み、なによりも、瞳の端には今にもこぼれそうなほどに涙がたまっていた。

「……姉さん……ひっ……ふっ……ふぐぅぅっ……」

 つられて泣いてしまいそうな気持ちも無いではなかったが、それは割合でいえば1割ほどで。

 残りの9割はと言えば、可笑しみというか、可愛らしさというか……自分でバカをやってしまって泣いている子供を目にしたときに、つい寄り添って慰めてあげたくなるような……そういったムズ暖かい気持ちが、心のうちのほとんどを占めていたる。

 ペパロニの頭に手を伸ばして、よしよしと頭をなでてやる。

 本当は、いっそのこと抱きしめてやりたかったけど、子供じみた恥じらいが、それをさせてくれなかった。

「なんだなんだ、どうした、今の今まで平気そうな顔してたくせに」

 笑ってやる。

 そうするとペパロニはもう、もはや感情を少しも隠そうともせず、その瞳からぽろぽろと大粒の涙をこぼし始めるのだった。

 ペパロニが喘ぎながらしがみついてくる。

 何をするでもなく、うんうんと頷いてやる。

 ペパロニの言葉は、その大粒の涙と同じように、もはや本人にはどうしようもなく、とめどなくあふれるらしかった。



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