過去ログ - アナスタシア「またひとつ、約束を」
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3: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/08/16(火) 16:29:39.64 ID:o5p7gtxyO
実際は、そんなことはない……と、思う。
歌もダンスも、演技やトークだって。デビューしたての頃よりも、今のほうがずっとうまくなった。トレーナーも、そう言ってくれている。実力は、ついてきているはず。
けれど、新しく事務所に入ってきた人たちが、どんどん力をつけて、どんどん人気が出てきて……仲間が輝くこと、それ自体は、とてもうれしいのに。
どうしてだろう。心の奥底で、怖いと感じる自分がいた。
まるで、自分が追いかけられて、追い詰められているような――
「アーニャ」
「………」
「アーニャ。聞こえてる?」
「……あ。シトー? どうか、しましたか」
考え込みすぎていたせいで、プロデューサーが声をかけていることになかなか気づけなかった。
「少し、寄り道をしていいか」
「寄り道ですか」
「ああ。君に見せたい場所があるんだ」
「………?」
うなずきながらも、私はプロデューサーの唐突な提案に首をかしげるばかりだった。
「よし。じゃあ、進路変更だ」
ただ、うれしそうに微笑むプロデューサーの横顔を見つめていると。
これから連れていってもらう場所に、何か素敵なものがある。そう信じることができた。
私に新しい世界を見せてくれた時……初めて出会った時の表情と、よく似ていたから。
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