104:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:22:51.75 ID:D33bbYIF0
「あっつーい」
イチが胸元をパタパタと仰ぐ。
「暑いですねぇ」
ナナコが気の抜けた返事をする。
「夏だからな」
流れを汲んで、俺もぽつりと呟く。
ここはこれで合ってるはず。
……なんて、最近は考えなくても、よくなってきたんだけど。
「それに、夏休み始まりますし」
「夏休みかぁ」
少し前を歩きながらそう呟いたイチは、思いの外あまり楽しそうではなかった。
「夏休み、好きじゃないんですか?」
同じことを感じたのか、ナナコがイチを見上げて尋ねる。
「んー、好きじゃないわけじゃないけどさー……」
イチは、何か、言いあぐねているようだった。
というよりは、言うかどうか、迷っている。
「ナナコはどうなの?」
「私ですか?」
歩幅が短いので、俺たちより少し早足のナナコが、今度は俺を見上げる。
「私はほとんど家の手伝いですからねー、嫌いじゃありませんけど」
「……家の手伝い?」
「はい、お店をやっているので」
お店の手伝い、と言えば。
コヨミちゃんもそうだった気がする。
もしかして。
「……ナナコって、妹、いたりする?」
もしそうなら、偶然というか、不思議なことになる。
「いえ、弟ならいますが……」
力が抜ける。
まあ予想通りといえば予想通りだが、ちょっぴり残念でもあった。
329Res/334.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。