120:名無しNIPPER[saga]
2016/08/20(土) 21:52:03.06 ID:D33bbYIF0
他のサッカー部と同じように、ランニングをしてきたのか、少し汗をかいている。
……の、少し離れた後ろに、女の子が一人。
麦わら帽子に、水色のキャリーバッグ。
ねえちゃんが、あっ、と声を上げる。
女の子はこちらを見ると、はっと驚いた顔をした後、ほっと気が緩んだ表情に変わった。
ねえちゃんが立ち上がって、一瞬、走り出しそうになった後、早足で女の子の元へ駆けていく。
女の子はどうしたらいいかわからないようで、視線を彷徨わせながら、麦わら帽子の向きを整えた。
ねえちゃんが女の子の前に立って、片手を振り上げる。
その肩は、少し震えていた。
「あ」
イチが思わず声を上げる。
女の子が肩を竦める。
イケメン君が焦って止めようとする。
が、間に合わず、ねえちゃんは、女の子にむかってーー手を、頭の上に、ポン、と置いた。
女の子は、叩かれると思っていたのか、拍子抜けしたように肩の力を抜いていた。
イチとイケメン君が、ほとんど同じタイミングで胸をなで下ろす。
俺もそうだった。
よかった……ここでビンタなんてされたら、どんな顔をしたらいいかわからなくなってしまう。
一回目を離してしまった、俺にも責任はあるわけだし。……後で謝っておこう。
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