129:名無しNIPPER[saga]
2016/08/21(日) 20:08:47.38 ID:Rgdwxjz5O
女の子……いつまでも女の子、と呼ぶのもどうかと思うので、ムギちゃんと呼ぶことにする。
麦わら帽子がやけに似合っているので。
ムギちゃんと並んで公園へ向かう。
ムギちゃんは俺の少し離れた左側をついてきた。こうして横で歩かれると、ちょっと可愛い。変な意味じゃなく、純粋に。
「お兄さんは、お姉ちゃんと結婚するん?」
唐突に尋ねてくる。
「しないよ?」
「え、でもあれみたいな、あの……い、いず……」
許嫁か。
いや、違うけど。
「だって、一緒にご飯食べてるし、家事とかも……」
……その辺りの事情は、なんというか、そうなるべくしてなったのだ。お互い、家庭の中に足りないものを補い合う感じで。
が、ムギちゃんにそんなことを説明しても仕方あるまい。
当たり障りのない返事をしておこう。
「結婚する候補だよ」
「わお」
発言してから、当たり障りのありまくる表現をしていることに気づいた。
ムギちゃんは嬉しそうに目を輝かせている。そういう話が気になりはじめる年頃だよなぁ。
ただ、その安易な発言のおかげで、ムギちゃんと俺の間にあった壁が溶けたようで、話すときの距離感は少し縮んだ。
お互いのことを聞き合う。
家の周りのこととか、学校のこととか、友人のこととか。
ムギちゃんは俺の話を聞いて目を輝かせた。徒歩で学校に行けるのは羨ましいことらしい。
「たまに近所の男の子がもぐら捕まえとるよ」
ムギちゃんの話も、俺からすれば少し楽しそうだった。子供が少ないから地域みんなが仲良しだったり、夜中に普通に猪や猿が出たり。
一番近い店が、歩いて一時間弱の酒屋らしい。
なんか物語の世界みたいだ。
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