221:名無しNIPPER[saga]
2016/08/24(水) 20:56:36.49 ID:H5SsrYQnO
防波堤の下の方から、部長の声が聞こえてくる。
いつも学校で聞く声より、ふた周りくらい楽しそうな声。
なぜ部長の声が耳に入ったのか、と一瞬疑問に思ったが、
たぶんそれは、今俺たちが話していることと、部長が無関係ではないことを、
俺が知っているからだ。
女の子が女の子を好きになるか、と聞いて、チヨが顔を赤くする。
チヨは、よく部長のそばにいる。
普通に仲が良いから、というのもあるかもしれない。
でも、この反応は。
チヨのことをよく知っているハルが、俺にああいう事を尋ねた、ってことは。
「……チヨ、もしかして」
チヨの方を見ると、少し下に俯いて、耳まで赤く染めていた。
「やっぱ、り、変、かなぁ?」
焦っているのか、恥ずかしいのか、半笑いのような語尾。
ーーたぶん、本当の気持ちを言葉にする時、人は平常心ではいられない。
「わたし、が、部長のこと、好きな、こと……?」
チヨの頭から湯気が上がっていた。
……というのはさすがに言い過ぎかもしれないけど、少なくとも俺が見てきた中で、
ここまで真っ赤な顔をしていたのは、後にも先にもこの時のチヨしかいない。
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